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3 妖怪変化
潤が弓矢を射て百目を倒した。
潤は古代人の髪型をしていた。上げミズラといって髪を頭頂で左右に分け、耳の辺りを中心に髪を上下に持ってきてる。埴輪を表現している。
「ドラマの撮影ですか?」
ミーコは天然なセリフを吐いた。
翌朝、食事を終えるとマルオは古墳にやって来た。短甲と呼ばれる鉄製の甲冑が出てきた。劣化しておらず、漆が塗られ黒光りしていた。
剣、刀、槍、矛も出土した。
また、午後には盾も出た。
夕飯は古代食が振る舞われた。
猪肉、牡蠣、蓮、椒、臭韮など。
臭韮、カミラ。邪気を祓う。
「カミラジエイ、いいんです」
大橋が親指を立ててウィンクをした。
椒、ハジカミ。噛むとスパイシーな味が広がる。
主食はおむすび、漢字では産霊と書く。
生きる力を強くする土着信仰と結びついている。
「この島には橘がどこかにあるって噂です」
平パパが言った。
ミカンに似た小さな果実で山林に自生している。 不老長寿の果物だ。
風が強くなってきてガラスがミシミシいってる。
ニュースを見た。注意報から警報へ切り替わった。ピンポーン!と鳴り、『緊急速報』と表示された。《伊豆大島に暴風雨警報》
「明日も船は来ないそうです」
平パパが言った。
客たちはげんなりした。
四十路コンビは、「会社から怒られちまうよ」とハモった。
髪の毛が薄い方が「会社に連絡いれてくる」と、スマホを持ってロビーに向かった。
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