*出会いは

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「どうかしましたか?」 「あっ、あなたは…」 猫のおやつの男性だ。 この時間には珍しい。 「あんたは?」 「通りすがりの常連客ですが」 ふうん、まあいいわと、どうでも良さそうにあしらうと、 「この子が変なこと言うのよ、猫がどうとか」 「あの。鳴き声が聞こえたんです!間違ってたらごめんなさい!」 頭を下げ、おろおろするわたしの方にすたすたと向かってくる。 「失礼」 手袋越しにボンネットをコンコン、と叩く。 「ちょっと!なにして…」 「……にゃあ…」 消え入りそうな声が応えた。 「いますね。開けていただいても構いませんか?」
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