*届け物

6/17
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
* エントランスに董坂が、壁に寄り掛かったまま寝ている人影にビクッとする。 アーミージャンパーにデニム、ハイネックセーターで、マスクをしていた。 「…あっ」 コンビニに電話したことをすっかり忘れていた董坂は、病院に行っていたのだ。 「お姉さん…えっと…橘…さん?」 名札に確かそう書いてあった。 かれこれ2時間はこうしていたのか。 その間、誰も来ていないようだ。 まだ人の気配はない。 呆れたけれど、ふと、覗き込んだ。 ―――可愛い…。 そっと、眠ったままの唇に。 触れていた―――。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!