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「……う…」
ベッドで目が覚めた董坂。
布団が掛けられ、横になった状態に混乱する。
自分で入った記憶はない。
思い出した。
同じ室内とはいえ、橘さんが、この重くデカい体を運んでくれたのか。
キッチンと玄関先から小さめの明かりが漏れ入っていた。
壁の時計は7時半になろうとしていた。
「にゃあ」
子猫がソファに置いたままのリュックの横で鳴く。
荷物はあるよ、といっているようだ。
「ああ…ハナ、おいで」
ハナと呼ばれた子猫がぴょん、とソファからベッドに飛び移る。
起きようとしたけれど、目眩がした。
枕元の薬を探り取ると、なんとか這うように起き上がって壁伝いに歩く。
「ハナのご飯はあげてくれたのか…じゃあなにか買いにいってくれたのかな」
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