*お仕事

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* 「次のお宅はこちらですか?」 車をワンルームマンションの脇で停める。 最近はペット可の部屋が増えているようだ。 むやみに鳴かない、臭わないが最低条件みたいだけど。 「ああそうです。…あの、風薬を飲んでおきます」 「顔色が悪いですよ?今日は帰りますか?」 「ここまで来たら、あと少しですから。小型犬のお世話だけです」 「指導いただければ、できることはします」 心配だ。 資格もないのでなにをすればいいのかわからない。 というより何をしたらダメなのかがわからない。 たかが犬の世話と侮ってはいけない。 自分の犬ではないのだ。 責任が違う。 ここは元から留守らしい。 鍵のある場所も決まっているようで、探し出すと開ける。 カードキーだった。 「お邪魔します…」 元気よく鳴いたのはトイプードルだ。 こちらも柵に入れているらしい。 「可愛いっ!」 言って、おっと、となり、さっきの要領で手洗いを探す。 学習しないとまた睨まれる。
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