第1話

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第1話

 会議室に緊張した空気が張り詰めていた。大きな長机を、10人ほどの男女が囲んで座っている。  誕生日席の女性が、全員を揃ったのを確認して口を開いた。 「急な招集すまない。非番のやつがいる中、人質ありの銀行強盗事件が発生した。詳細を氷山(ひやま)、頼む。」  女性の右側に座っていた、氷山と呼ばれた男性がタブレットを持ち立ち上がった。 「場所は新宿駅前の三菱東京銀行。犯人の数は4。防犯カメラの映像から判断すると、人質の数は20名ほどだ。」  テーブルの中央に、立体映像が浮かび銀行内を映した防犯カメラの映像が映された。  それを見た、1人の男が口に手を当てた。 「ありゃりゃ、1人死んじまってますね…。こりゃ早くしないとまずいんじゃなーいの?」 「わかっている。それと銀行内のAGセンサーによると、強盗グループの中に異能者1名が確認された。名前は『遠山 健治』、見えない場所でも人や物がどこにいるかわかる異能だそうだ。強盗のうち2人が受付で人質を見張り、残りの2人が、行員の男性1名を連れて金庫に向かった。」  強盗の中に『異能者』の存在がいる事を知り、何人か息を呑んだ。再び、先程の男がまた口を開いた。
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