第一章 変わらない日常

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 母の友子(50) 父親と真逆でどんな時でも笑顔な元気な人。 どんなに嫌なこともポジティブ思考で乗り切ってきたすごい人。 母の事は尊敬している。俺はこんな思考できないし、周りの人を笑顔にするなんてもっとできないから。 なんであんな父親と結婚したのかわからない。 「悪いけど今日もご飯よろしくね!ユウちゃん!」 「うん」  ユウちゃんこと俺の名前は新田 勇一 26歳  毎日家族の朝昼晩のご飯を作るのが日課だ。別に文句はない。他にやりたい事もないから。 好きなものは特になし。嫌いなことも特になし。 別に暗い性格だって訳でもない。コミュニケーションだってとれる。 でも物事、他人、そして自分にさえ関心がわかないんだ。 別に好きでこんな性格になった訳じゃない。  小さい頃から水と油の親達の喧嘩を見てきた。 その度に感じる喪失感と嫌悪感。全てが煩わしかった。 「ユウちゃんも言ってやってよ!そんなネガティブな考え方じゃなーんにもうまくいかないってね!」 「勇一、母さんの話なんて聞くな。あんな楽観的な思考だと将来どん底に落ちるのが目に見えてるからな。」  俺はどちらの味方にもなれなかった。だから苦笑いでその場をごまかす。     
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