相棒彼氏、相棒彼女

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「………夢、見たんだよ。お前が、死ぬ夢。突然、大きな地震が起きてさあ。街が大パニックになって、暴徒がいっぱい襲ってきて……亮馬、弱いくせに……私を庇って死にがやるんだ」  本気で胸糞悪かったんだよ、と蜜姫。 「夢で良かったって、本気で安心したけど……安心したのに、不安になった。目が覚めたら、今度はそれが現実になっちまう気がしてさ。……正夢みたいなヤツだったら、どうしようって」 「そっか」 「な、くだんねぇだろ。いい年こいて、夢ごときで不安になって、真夜中に電話するとか馬鹿じゃねえのっていう。こんなんで、正義の味方気取ってだから馬鹿にもほどが……」 「大丈夫」  彼女自身だとしても。大好きな人を馬鹿にする言葉なんて、聞きたくはないから。  亮馬は躊躇いもなく、自分より背の高い彼女をそっと抱き寄せた。 「僕は、蜜姫の彼氏だけど。相棒でもあるから。……先に死んだりしないよ。死ぬ時はきっと、一緒。蜜姫を置いていったりしない。だって、どっちが死んでも、間違いなく悲しいだけだもんね」  大好きな彼女を庇って死ねた、夢の中の自分は本望だったのかもしれないけれど。  できることなら、彼女の命だけではなく――心まで全部、守れる存在でありたい。弱い亮馬でも、弱いなりにできることはきっとあるから。 「……約束だかんな」  彼女の震える声が、頭の上から響いた。 「絶対、私を庇って死んだりすんなよ。そんな馬鹿したら、地獄まで追いかけていってブン殴るからな」 「そりゃ怖い。絶対死ねないや」 「だろ」  恋人だけど、相棒。相棒だけど、恋人。それが自分達の、幸せの形。  真夜中に、ジャージと部屋着で抱きしめ合う自分達は。世界中にだって見せつけたくなるような、最高の恋をしている。
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