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プロローグ
大きな丸い月が出ていた。
月のクレーターは餅つきをしている亀のように映える。
銀色の光を放つ月が照らしていたのは、大きな日本庭園と大きな屋敷の瓦。屋敷の瓦はまるで金を塗ったかのようにキラキラと輝いていた。
その屋敷の前にある公園のように広い日本庭園は、まるで嵐がやってきたかのように荒れ果てていた。
その庭園の中心に、5人の男の影があった。
逆行で姿形が見えない彼らが取り囲むようにして覗いていたのは、すやすやと気持ち良さそうに眠る、一人の少女の姿だった。
「なんだこの小娘は」
男の一人が冷たく吐き捨てるように、呟いた。
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