第二話・出逢いました。

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第二話・出逢いました。

 ぼんやりする目に、見慣れない天井が映る。自室の白い壁紙じゃない。格天井だ。おばあちゃん家の和室みたい……。 (でも、なんで照明器具がないんだろう)  何気なくそんな風に考えて、急にハッとした。  飛び起きて布団をはがすと、動悸がしてくる。 「私、空から……」  跳ねるように周囲を見回す。  そこは、十畳くらいの和室だった。左右と後ろに襖。絵柄が少し変わってる。龍やドラゴンのような生物が墨で描かれていて、かっこいい感じ。  正面には、雪見障子っていうのかな。上半分が木枠に和紙、下半分がガラスのような素材で出来ている戸があった。 そこから光が漏れている。 「朝? 昼?」  もしかして……。 「私、夢見てた?」  明らかに空の上じゃないし、病院っぽくないし、布団の中だし……。でも、どこからが夢?  「それとも、もう死んじゃって、ここは天国とか?」  冗談ぽく口にしたけど、次の瞬間、本当にそうじゃないかって思って血の気が引いた。  パニックになりそうな気持ちを抑えて、 「いやいや、落ち着いてゆり! そんなはずないから! ……多分。いや、絶対!」  思い切り頬をつねってみる。 「痛い! 痛い!」  ってことは、これはまぎれもなく現実で、私は生きてる。 「よかった!」  ほっと一息ついて、ふと気づく。 「でも、ここどこ?」  私はゆっくりと起き上がると、とりあえず障子に手をかけた。ちょっとドキドキする。 「まぶしい」  障子を開けると、庭があった。小さな日本庭園といった感じで、庭石が敷き詰められ、松にしてはみどりの色が鮮明な低木と、丸く葉をカットされた木がそこかしこにある。  足元には縁側。  私、初めて見た。  たしか、小さい頃に曾おばあちゃんの家に縁側があったけど、そこにはガラス戸があった。けど、ここにはない。縁側の上には屋根が伸びてるけど、この部屋から一歩出たら外って感じ。 (こういうのって、大きなお寺とかにはありそうだけど……。ここって、お寺なのかな?)  でも、どうして私がお寺に?  首を捻ると同時に、 「起きたんですね」  柔和な声が聞こえて、私は身を乗り出して振り返る。右側から、男性が歩いてきていた。私は、一瞬にして体温が上昇した気がした。  彼は灰色の髪に、澄み渡る空のような水色の瞳で微笑んだ。 (うっわぁ! こんな美形、見たことない!)  え? 男の人だよね? 女の人じゃないよね? 思わずじろじろと見てしまう。  多分、おそらく、男の人だと思われる彼は、二十代中頃で、執事が着るようなジャケットをはおり、白い手袋をはめている。声と、かっこうがそうだから、男の人だと思うけど、中性的な顔立ちをしていて、黙っていれば女の人みたいだ。 (女の人だったら、大人になった沢辺さんがこんな風にキレイになるんだろうな)  ほえ~と、見惚れていたら、苦笑されてしまった。  やっべ。 「皆様がお待ちです。こちらへ来ていただけますか?」 「皆様?」  訊き返したけど、彼がすっと手のひらを返して縁側の先へ促すので、私はついつい足を踏み出してしまった。
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