神社に来てみたら……

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「そうですね。流石にここまで大変だとは思ってませんでした。ここには初めて来ましたが、あの石段が鬼門ですね」 「俺も昨日来たばかりなのですが、妙に長いですよね」 「昨日来たのですか?この荷物と言い……。まさか、ここに住むつもりですか?」  宅配便のお兄さんは困惑した様子だった。確かに、逆の立場でもここに住むと言われたら正気かと聞きたくなる気持ちは大いにわかる。改めて考えると、少し無謀な気がするがもう決めてしまったことだしな。 「色々、事情がありまして……。まだ、住める状況じゃないので、またお願いするかもしれませんがその時はすみませんね」 「正直、これをもう一度と考えるとしんどいですね。いや、しかし、こんな所に”一人”で住むなんて大変でしょう」 「えっ」  振り返り少女を見た。宅配便のお兄さんは俺と少女を見たのなら二人で住むと思うはずだ。なのに、何故一人と思ったのだろうか……。  俺の、顔を見て少女がニヤッと笑った。 「やっと、気付いたか。阿呆めが。私はかつて神事家の呪いによりこの地に縛り付けられた身。お主ら以外の人間には見えぬは」
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