神社に来てみたら……

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神社に来てみたら……

 日が沈み掛けた頃、長く急な石段をやっとの思いで登り切った。額から伝う汗を拭いながら、目の前のボロボロの神社を見て、場所を間違えたかと思った。携帯の位置情報とポケットの中にしまっている紙に書かれた住所を見比べる。 間違いない。ここで合っている。 住所が書かれた紙とは別にもう一枚握られていた。その紙の内容を思い出すと、今でも腸が煮えくり返る思いだ。 『我が息子 神事総一郎へ  大学を卒業する頃かと思い手紙を出した。  お前なら良い企業に入れるだろう。親として嬉しくあるが、私としては嬉しくない。  同封した紙に住所が書いている。企業に勤めるのを辞め、そこに住みなさい。生活費の事なら、何の心配もいらない。これまで、通り……、いや、これまでの二倍は送ろう。  もし、お前が私の言うことを破りその場所にも行かず就職したというならば、私からの仕送りの一切を絶つ。  彼女によろしく頼む 神事三四郎』  何故、突然ここに住めと言われたのか、彼女とは誰なのか、新しい土地なだけあって見当もつかなかった。しかし、もう一枚の紙に書かれた住所の場所に行けば、その彼女に会い説明して貰えるだろうと高を括っていた。     
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