猫に羽

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  暑い……。苦しい……。  私は何故かサバンナで仰向けにひっくり返って寝ていた。胸の上にはバタバタと羽ばきを繰り返すハゲタカ。そのバカでかい鳥が羽を動かすたびに、肺と心臓が圧迫されて痛い、苦しい。  ていうか、ハゲタカって屍肉を食らうんじゃなかったっけ?ということは、私もう死んでんの?  と不安になった時、ハゲタカは奇妙な、そして気の抜けるような鳴き声を上げた。 にゃあうううぅん にゃあうううぅん 「お前は猫か!」  と、思わずツッコんだところで目が覚めた。  でも鳴き声は止まない。  目を開けると、ド近眼のぼやけた視界に見慣れた自分の部屋。布団の上。そして胸の上には一匹の猫。  猫だった。  夢の中まで響いてきたあの鳴き声の正体は。  茶色の地に黒のしましま。体重7.4キロの。どこへ出しても恥ずかしい、たぷたぷ丸々太ったデブ猫だった。  ちなみに「恥ずかしい」のは、ここまで太らせてしまった管理不行き届きの飼い主の自分だ。 「やめて、死ぬだろ…」  思わず呟くが聞きやしない。  胸の上にどっかりと座り込み、斜め上の何もない部屋の天井あたりを見つめながら、何故かドヤ顔で雄叫びを上げている。その合間に、どこからともなく聞こえてくる、バサバサという羽音。  夢の中のハゲタカの羽ばたき。 (何の音だろ……?)  寝起きの頭でぼんやりと考え、そしてガバッと跳ね起きた。
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