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「山奥の村のみなさん、浜辺に大きなクジラがうちあがっています。食べきれないほどのお肉があります」
ピリカは遠いところにある山奥の村まで飛んできて、疲れている上に、お腹もペコペコに空いてました。
それでも、山奥の村の人たちが大きな籠を背負い、大喜びで山を下っていく様子を見て嬉しく思いました。
クタクタに疲れているピリカは、来たときと同じ速さで空を飛ぶことはできませんでした。
人間が歩くよりも遅い速さで原生林の上をフラフラと飛び続けていました。
ピリカはやっと浜辺に戻ってきました。
「あぁ、とても疲れたし、とてもお腹が空いたなぁ~」
「さぁ、僕もおいしいクジラのお肉を食べよう」
だけど、ピリカは浜辺に戻った時、クジラは骨だけになっていました。
クジラの肉は全部他の人間や動物たちが食べてしまいました。
ピリカは遠くまで飛んで、クジラのことをみんなに知らせたのに、ピリカの食べるお肉はまったく残されていませんでした。
ピリカは疲れと空腹でもう飛び続けることはできません。
そのままハラハラと浜辺へ落ちていきました。
冷たい砂浜の上で、北の島中を飛び回ったピリカの羽はとても痛み、それにもまして、お腹が空きすぎて、身体にまったく力が入らず、息をすることさえもできなくなりました。
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