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ピリカは浜辺への帰り道、空の上から見た村のことを思い出すことにしました。
山奥の村では、お父さんが籠に入れて持って帰ってきたクジラの肉を見て子供たちが大喜びしていました。
川辺の村では料理が始まっていました、大きなお鍋でお味噌と一緒にクジラの肉を煮ていました、それはとても良い匂いがしました。
鍋の周りには多くの大人と子供達が集まり、みんな料理ができるのを楽しみに待っていました。
海辺の村では網の上で焼いたクジラの肉をちょうど食べているところでした、みんな、とっても嬉しそうでした。
ピリカは、みんなの嬉しそうな顔を思い出すと、翼の痛みが引いたような気がしました、お腹がとても空いていることも忘れてしまいました。
みんなの楽しそうな顔を思い出すと、冷えきったピリカの身体が少しだけ暖かくなりました。
ピリカは最後に一言言いました。
「みんな、よかったね、クジラ美味しかったかい?」
ピリカはそのまま静かに目を閉じて死んでしまいました。
カムイは北の島を護る神様です。
カムイははるかかなたの空の上からピリカのことを見ていました。
カムイは黄金色の羽を持つオホーツクオオワシに姿を変えると、北の島の浜辺に舞い降りました。
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