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揚子江支流の流域で、長沙というところがある。
ここは広い河を望むところに市街が位置するため、渡来する船や、出稼ぎ商人などで終日賑わっている。
孫堅、字を文台はこの長沙の十三の領城を支配していた。
長沙に戻った後、無理やり袁術から荊州刺史を推されたため、先の霊帝死後より荊州を治めていた刺史、劉表と対立の色を呈していた。
とはいえ、劉表は先の伝国璽の件で孫堅に恥をかかされ、それから強い恨みをもっているらしく、先の名分がなくとも孫堅を滅ぼすつもりであったと部下に漏らしていた。
対する孫堅はこれを警戒して、軍備を長沙に集めて様子を見つめた。
すると、意外にも劉表は攻撃をしてこなかったため、一旦警戒を解いて徴兵などを軍備の増強を行うことができた。
その実、劉表は慎重すぎる性格であった。
そのため、自分からは打って出ず、孫堅が自ら攻めてくることへの警戒ばかり抜かりなく行っていた。
「これが江夏の八俊と呼ばれた者の実際か……」
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