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「ああ、あの男ですか。ふん、あの優男がそれほどの器とは思えませんがな。孫策様が心配です」
そう言うと孫堅は可笑しげに笑った。
「ははは、そうか。そなたは周瑜と出会ったときから折り合いが悪かったな」
「あの男はどうも信用ならんのです」
「まあ、この戦で本質が見えてくるだろうさ。良くも悪くも」
「ええ」
「我等は息子たちの勝利を信じてここを守る。きっと帰ってくるさ、あいつは俺の息子だからな」
「そうですな。周瑜はともかく」
それから数日後、孫堅の息子の孫策は自身の将等を並べて、それらの兵備を見つめた。
長沙の者たちは彼の事を江東の麒麟児と称し、期待を向けていた。
この日が来るまで孫策は兵学書を読み、孫堅からは武技を学び、山野に数日程狩り暮らしをするなど、自らを鍛えに鍛えぬいていた。
また、その修行の際に再会したのが、かつての竹馬の友、眉目秀麗、かの美周郎こと周瑜である。
孫策と周瑜は再会してすぐにまた情意投合し、大志をともにした。
「持つべきはやはり友だな。周瑜、お前がきてくれれば、俺も心強い」
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