602人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし劉備は妻をもっていなかったし、そんな話など義弟の関羽、張飛すら心当たりのないことである。
だが事実、孫尚香を妻だと認める劉備がいる。
その場にいた荀彧らは茫然自失とするような事態に、固唾をのんでただただ状況を見守った。
「孫尚香よ、しかしそなたはかつての世で繋がりをもっていた者。今の頃ならばまだ赤子ぐらいの齢では?」
「……」
拝伏したまま言葉を発しない孫尚香。
無反応な態度にため息をつく劉備は、
「面をあげて質問に答えよ」
そう言って孫尚香の顔をあげさせた。
「なっ?!」
孫尚香が顔をあげた途端、劉備は愕然とした。
面を上げてみるとなんと、顔をあげた孫尚香は号泣していたのだ。
「ど、どうして泣いている?!」
「うっうっ……」
劉備は訊ねるが、泣いているせいで声が出ない孫尚香。
最初のコメントを投稿しよう!