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横で見ていた従者の黄蓋は辛抱たまらず、
「劉皇叔! 姫様は今感極まってお話しできない状況にございます。願わくはこの黄公覆が姫様の代わりにお話ししたいのですが……」
劉備に懇請した。
「うむ、許可しよう。公覆殿、前に――」
「はっ!」
黄蓋は先だって劉備に拝礼した。
「劉皇叔。ご覧の通りこの方は正真正銘、孫堅様の御息女、そしてあなた様の妻である孫尚香様です」
「ああ、だろうな。その……見ればわかる」
「話はそれがしの死後、そして劉皇叔が死後の事にございます」
「……」
面倒そうに頬杖をつく劉備。
それを察してか黄蓋は、
「話が長くなりそうですので簡単に申し上げますと――」
そう前置きして、
「姫様はあなたの訃報をお聞きになり、それを深く嘆かれましてな。悲しみのあまり長江に身投げをされたのです」
と述べた。
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