喬家の名花

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「喬公、我等二人は約束いたします。絶対に喬公ご期待に届くよう尽力することを。願わくは同族として運命をともにし、喬姉妹と我等二人が夫婦の契りを結ぶことをお許し下さい」 「若いな。しかしまっすぐな良い目をしている。この二人ならば間違いあるまい。後は娘の気持ちなのですが……」 喬公が呟くように言うと、遠くから奚琴(けいきん)を弾く音が聞こえてきた。 それは二人を歓迎でもするかのように、緩やかで温和な曲である。 その音色が鳴る方へ顔を向け、笑みを浮かべつつ喬公は、 「あの音色はきっと大喬ですな。まあ、あのように意思を表しておりますので、お二方。どうか娘達をよろしくお願いします」 そう言うと、孫策は喜んで喬公の手を握った。 「はっ、お任せください! この孫伯符、決して後悔はさせません!」 こうして孫策、周瑜等の縁組が決まった。 婚儀の様々な取り決めはその日のうちに行われた。 嬉々として孫策と喬公は予定を立てて、いつの間にか孫策夫人の大喬も加わっていたが、この時周瑜はふと呟いた。 「……小喬がいない」 この時、何か悪い予感がした周瑜だったが、孫策、周瑜の二人は婚儀の日を待って、長沙に帰るのであった。
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