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「お母さん、あのね」
まだ涙の残る瞳をキラキラとさせて、麗子が顔を上げた。
「麗子ね、赤ちゃん生まれたらオムツ替えてあげるの。あとね、お母さんのお手伝いもたくさんする」
「ありがとう」
「それでね、それでね、お父さんの畑のお仕事も……」
赤ちゃんが生まれることを本当に心待ちにしているのだろう。興奮した様子で、赤ちゃんにこれをしてあげる、あれをしてあげる、と一生懸命に話している。
大人しく聞き分けのいい子だけに、多くの我慢をさせてしまっている。
母は麗子を抱きしめた。
「麗ちゃん。お母さん、麗ちゃんが大好きよ」
「麗子も大好きだよ」
麗子は母のお腹を優しく撫でた。
「赤ちゃんも大好きだよ。お姉ちゃん、赤ちゃんに会えるの待ってるからね」
本当に優しい子に育ってくれた。この子が大人になって、いつも笑顔で幸せになることを願わずにはいられない。
母はもう一度、麗子を抱きしめた。
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