粉微塵にされた淡い想い

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 撃沈したこの日は麗子の二十歳の誕生日だった。  食事に行きたいと言う麗子に健吾は二つ返事で応じたのだ。  健吾はとてもモテた。特別に顔がハリウッドスターのようにかっこいいわけではないが、バランスのとれたいい顔をしていた。大きな口がコンプレックスで、尖った鼻も嫌いだとよく麗子に健吾は話していたが、麗子はそれがかっこいいと思っていた。  長身、程よく太い首に程よく広い肩に厚い胸板。顔も体型もバランスのとれた平均点以上なのだ。  その上、優しくて気が利くとくればモテないわけがない。  健吾が言い寄られているところを何度も目撃したし、気さくな健吾は誘われると予定がなければデートにも行っていた。  脈ありに見えて、でも、誰も落とせない。  そんな難攻不落な健吾を落とそうと、闘志を燃やす女子は多かった。  そんな肉食女子から健吾を守るのが自分の役目だと、いつからか麗子はそう思うようになっていた。
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