粉微塵にされた淡い想い

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「でも、麗子が好きだしそばにいたいと思う。もっと……いい言葉があればいいんだけれど」 「家族と……近い感覚?」 「うーん……そうだな。出来るなら麗子が幸せになれるまできちんと見届けたいし、これから付き合う男が出来たら、全員俺がしっかりと見極めたいと思う」  そんなのは余計に苦しい。それでも、そばにいたいしそばにいて欲しい。 「私は……たぶん、ずっと健吾のことが好きよ」 「……うん」 「それでもいいの?」 「麗子がいいならば」  これが普通の男相手ならば、なんてゲスな男を好きになってしまったのだろうと自分を責めただろう。  でも、これが健吾の本心だと分かっていた。健吾にとって異性は恋愛対象にならないのだ。  つまりは、麗子が女友達に抱く感情と同じなのだ。このときの麗子には理解できるようで理解し難かった。  
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