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それでもいいと思った。
健吾が思うように、自分も健吾のそばにいたいとそう思った。
黙ったまま健吾は起き上がると、麗子を抱きしめた。片脚を上に乗せて、抱き枕を抱きしめるように身体の中に麗子を収める。
「おやすみ」
健吾の声が少し震えていた。
「おやすみなさい」
苦しくて辛いのは、麗子だけではない。健吾も同じなのだと悟り、いっそう胸が苦しくなった。
それでも、これからもずっと、私たちはこうやって並んで歩いていくのだろう。
麗子は目を閉じた。
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