紅葉狩り

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紅葉狩り

 錦秋の山を、輿を囲んだ一団が進んでいた。王と正妃に一つずつ、着飾った婢達がその後に続き、武装した兵がその前後を挟み、先頭には金色の髪をした美しい青年が一人歩いている。  それはまるで神の御使い、導き、先導する先触れのようでもあった。ぞっとするような美しい男の背後の兵は、すでに慣れてしまっているのか、緊張感の無い様子で、きょろきょろと周囲を見回すふりをしながら、一足早い紅葉狩りを楽しんでいるようでもあった。 「空も高く、木々は輝き、新王の御代に陰り無し」 「雲上の都から、今は新都、穂の宮の造営も順調、いや、ソニ様、陛下のご威光が、国中を照らし出すかのようですなあ」
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