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ソニはオホドに返答の暇を与えてはくれなかった。
オホドは、せめて恋人に別れを、と、申し出たが、聞き入れられはしなかった。それもそのはず、オホドが即位するにあたり、前王の姉を正妃として迎える事も条件の一つであったからだ。
もったいぶってソニはこう付け加えた。
「もちろんこれは無理強いされる事ではありません、だいたい、あなた様よりももっと王のお血筋に近い方もいらしたのです、……ですが」
ソニはもったいぶって一呼吸置いた上で続けた。
「お断りになられましたので、かのお方は領地ごと……いえ、私の口からはそれ以上は」
あいまいな、けれど酷薄な笑み。後は想像しろと言わんばかりのソニの様子に、オホドは一も二もなく決意した。
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