オホド

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 黙って行けばよかったのだ、そうすればきっとヒノミは薄情な恋人の事など忘れてしまうだろう。そして、誰か他の相手を見つけて婿とし、未崎の地で命を繋いでいくのだ。  ……自分以外の誰かと。  オホドは、目の前が暗くなり、体が冷えていく事を自覚した。  自分以外の男の横に立つヒノミの姿を想像する。それだけで気が狂いそうになる。男勝りなヒノミが、従順に誰かに従いかしずく姿を、今後永久に見る事がかなわないのだとしても。  オホドは、しばらく考えてから、ヒノミ宛ての手紙をしたためた。
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