ヒノミ

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 しかし……。  オホドからの使者だという男は、たいそうな美形で、まるで遠い異国の色彩豊かな鳥のように、未崎の鄙びた者達の注目を集めた。  オホドに使わされたというその男は、服装といい容貌といい、雲上の都から来たので無ければ魔物の類いでは無いかというほどに美しく、そして奇異だった。使者の持参した花籠と手紙が、オホドの物だとわからなければ、屋敷の中に入れる事を恐れるほどに凄みがあった。  使者は……ソニは、オホドから預かったという花籠と手紙を見せて言った。 「オホド様におかれましては、次代の王となるべく、既に雲上の都に向けて出立なさいました」  ヒノミは、最初目の前の美しい金色の髪の男が何を言っているのかまるでわからなかった。雲上の都、なぜオホドがそのような場所へ行かなくてはならないのか、意味がわからなかった。中央の事にうといヒノミは、王が死んだことも知らなかった。
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