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ヒノミ
ヒノミは、厩で生まれたばかりの子馬を見ていた。馬番達にあきれられながらも、泥にまみれ、汗にまみれる事を厭わないヒノミは、自身でも馬を駆り、遠出もすれば狩りもした。
そんな様だと婿の来てが無いと、婢のムツキとヤヨイに笑われるのだが、いっこうにかまう様子は無かった。
「婿の来てならある、オホドだ」
そう言うと、高貴な生まれのはずが、まるで影のようにヒノミに付き従うオホドの優しげな姿を思って、ムツキ達だけでなく、馬番の小物達も、どこか微笑ましい気持ちになるのだった。
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