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今一度、誤字脱字が無いか確認した。よし、問題なしっと。何行にも及ぶ文字を認めた手紙を三つ折りにして、白い封筒の中へ滑らせる。あとは封をして完成だが……今日はペンギンのシールにしよう。小さいペンギンが描かれたシールをぺたりと貼り、母へと送る手紙は完成だ。後はこれを古びたポストの中へ投げ込むだけ。私はポストを目指して、外を歩き始めた。
こんな時代に、文通なんて。そう思うだろうか。私は、こんな時代だからこそ大事だと思う。やはり紙だと温かみが出るし、なにより形として残ることが嬉しい。でも履歴書やプレゼン資料が紙である必要は無いと思う。そんなものに温もりは求めていないし、データとして作った方が良いに決まっている。この国はどこか遅れている。そんな愚痴はきっと口に出し始めたら止まらない。
母から貰ったお返しの手紙は、宝物だ。もし私が腹を空かせたヤギでも、食べられないくらいに、大事なものだ。いつか積もりに積もった手紙を読み返して、懐かしむ日が来るのだろうか。それがどんな時になるのか、想像したいような、したくないような。
そんな事を考えながら歩いていたら、気付けばポストの前へ立っていた。この薄汚れた赤いポストも、いつか無くなってしまう日が来るんだろうか。そもそも手紙という文化は今もまだあるんだろうか。私が小学生の頃は……っていいや、早く帰ろう。投げ入れるかのように、ポストの口へと手紙を入れた。そして自宅を目指して、また歩き始めた。
そうだ。この瞬間、この帰路に着いた時に。母からどんなお返しが来るのか、それが楽しみで仕方が無い。だから私は、手紙が好きなんだ。
自宅へ向かう足が、自然と弾んだ。
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