【 part 2 】

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「・・・嫌なの。」 長瀬「・・・え?」 「嫌だから、やめて。」 不意に、私の腕を掴んでいた手が緩み、するりと抜けた。 私は一歩下がって俯く。 あんなに至近距離だったのだ。 顔が赤くならないわけがない。 考えている間にも顔からの熱を感じる。 こんな顔を見られるわけには・・・! 長瀬「・・・チッ」 「!?」 え? 舌打ち? 長瀬が? 信じられないような行動に、思わず顔を上げる。 何だか恐ろしくて、顔は熱いどころか血の気が引いている。 でも、そこにいるのはいつもの長瀬で・・・ 目が合うと、優しい笑みを浮かべた。 恐怖やら、驚きやらで頭の中は大混乱。 動揺を隠すように、目に入ってきた『ソレ』に話題を変えた。 「あれ何?」 私が指を指した先には・・・ え、あれ本当に何? 長瀬「何って・・・見たまんまのチョコレートだよ。」 いや、それは分かってるよ。 アホじゃあるまいし。 私が聞きたいのは・・・ 「・・・何で保健室にチョコレートがあるの?」 そうだよ。 これだよ。 しかも何故かフォンデュ式だし。 長瀬「白井さんも色々大変そうだったからね。疲れた時には甘いものが一番だよ。」 いやいや。 その気持ちはありがたいんだけどね? 「・・・よく許可が出たね。」 「?一発だったよ?」 先生・・・ そういえば、あの先生イケメン好きだったな。 長瀬「はい、あーん。」 「!?」 それ以上考えるのを遮るように、口にチョコレートを突っ込まれた。 というか、口の周りがチョコレートだらけになったんですけど。 長瀬って案外・・・こういうの苦手? 意外・・・ん? 舌の上でチョコレートが溶けて、その味に気づく。 「苦い・・・まさか、ビター?」 長瀬「え、もしかしてビター苦手?・・・何か意外だなぁ。」 ・・・それって、私に『苦い』イメージがあるってこと? 長瀬もそう思ってたの? ・・・別に期待してた訳じゃないけど。 改めて言われると、辛いなぁ。
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