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長瀬「一応、スイートチョコもあるんだけど・・・このビター、僕だけで食べられるかなぁ。」
「私も食べる。」
長瀬「え?でも、苦手なんじゃ・・・」
「スイートチョコもあるんでしょ?なら、食べる。」
そう言いながら、ビターチョコを頬張り、すぐにスイートチョコを口に含む。
こうすることで、苦い・・・でも、ほんのり甘い『ノーマルチョコレート』になる。
『苦いもの』と、『甘いもの』は相性がいいのだ。
苦いイメージがあってからか、昔からビターチョコばかりを渡される。
その度に、この方法を使ってきた。
長瀬は私の真似をしてチョコレートを口にした。
そして一瞬驚いた顔をした後、いつも以上のキラキラスマイルで私を見た。
長瀬「・・・!何だか、癖になりそうな味だな~。白井さんみたいに。」
「・・・。」
・・・は?
え?何で私が出てきたの?
・・・まったく分からない。
え、これは長瀬が悪いの?
それとも、私がバカなだけ?
戸惑いながらも冷静を装う私を見て長瀬は一瞬真顔になり、見たことない顔で小さく笑った。
長瀬「・・・うん。やっぱり白井さんは凄いね。」
「え?」
長瀬「僕、白井さんのこと、
_ 好きだよ _」
あぁ、まただ。
この笑顔。
私には、長瀬の瞳の奥にある、黒い影が見えていたのかもしれない。
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