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そう自分に言い聞かせて、座り直す。
本当は分かってる。
昨日のは、決して幻聴なんかではないと。
だけど、長瀬を見てみても、特に気にする様子はなかった。
一体、何が起きているというのだろう。
雛「あっ!」
突然、平井さんが短く声をあげた。
そして、無駄に高身長の長瀬を見上げて、再び口を開く。
雛「あの・・・長瀬くん。やっぱり・・・無理なのかな・・・?」
長瀬「うん。ごめんね。」
雛「そっか・・・そうだよね!さっ!食べよ~!」
・・・え?
いやいやいや。
『さっ!食べよ~!』じゃ、ないでしょ。
どういうこと?
無理って?何が?
平井さんは笑っているけれど、その笑顔には寂しそうな影がちらついていた。
え、じゃあ・・・もしかして中川さんの時も?
もし、そうだとすれば二人の身には同じことが起こっているということになる。
だけど、中川さんが寂しそうな顔をしていたのは見ていないし、絶対とは言いきれない。
・・・何で、もっとちゃんと見ていなかったのだろう。
後悔は募るばかりだ。
・・・さらに翌日・・・
女子A「長瀬くぅん!バイバイ!」
長瀬「うん。バイバイ(ニコッ)」
女子A「//////」
長瀬「・・・。」
女子A「?どうかしたの?」
長瀬「・・・ううん。勘違いだったみたい。」
女子A「・・・勘違い?」
長瀬「じゃあね。」
女子A「う・・・うん。」
・・・。
・・・ふぅ。
危ない危ない。
一瞬、バレたかと思ったよ。
実は私、朝からずっと長瀬を尾行しているのだ。
もう後悔はしたくないからね。
だけど、今日一日は特に何も起きなかった。
やっぱり私の考え過ぎだったのだろう・・・か・・・あれ?
何で長瀬は正門と真逆の方向へ向かってるの?
これは・・・絶対、何かある!
そう確信した私は少し早足になった長瀬の後を必死に追いかける。
そうして辿り着いたのは・・・体育館。
てっきり中に入るのかと思えば、裏側へまわって行った。
角で立ち止まりながら、慎重に追うと、途中で足音が止まった。
・・・ん?
誰かと話してる?
?「来てくれてありがとう。」
長瀬「全然、大丈夫だよ。で、話って何?」
話?
話って何だろう。
というか、待っていた人の声・・・どこかで聞いたような・・・
つい、好奇心に逆らえず覗いてしまう。
バレないように、ゆっくりと・・・
・・・え?
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