東京の協力者

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「あっ、いたいた。久しぶり圭一くん」  書店に入ると、新刊コーナーを見ている圭一くんがいた。以前、ミステリー小説が好きと言っていたから、新刊が出ていないかチェックしていたのだろう。  相変わらずシュッとした顔で、かっこいい男だ。この男前の顔を少しで良いから分けてほしい。 「こんちにちは修さん。元旦以来ですね」 「そういやそうだったか。熱心に見ていたようだけど良い本見つかった?」 「いやぁ最近はいまいちです。心惹かれるものがない。修さんは何か読んでますか?」 「書店に行くのも久しぶりだよ。ちょっと忙しくてね」  インターネットを使えばチェックぐらいはできるが、心霊現象のせいで見る気力がない。早く解決してゆっくりと本を堪能したいものだ。 「それじゃあ、修さんが来たことだし、移動しますか?」 「そうだね。冷やかしになっちゃうのは申し訳ないけど」  ここの本屋には申し訳ないけど、今は本を読む暇などないのだ。次、東京に遊びに行った時に買うとしよう。  本屋を出て雑談しながら由香と圭一くんの家へ向かう。東京は徒歩でもそんなに時間がかからないし、街の景色も楽しげだから疲れにくい。北海道だとどこを見ても同じ景色だ。飽きも早い。飽きがくるとなぜか疲れやすくなるから、移動はだいたい車だ。  逆に東京だと車に乗りたくない。北海道の快適なドライブを体験してしまうと、混雑している東京は普段より神経を尖らせないと事故を起こしてしまうかもしれない。だから東京は歩いて楽しむに限る。 「由香から聞きましたよ。フリーマーケットに行くんですよね?」 「そう、ガラガラの元持ち主に会いたくて」 「……変なこと聞きますけど、あのガラガラ大丈夫でしたか?」  大丈夫、とは。 「僕も変なこと言うけど、ガラガラを貰った日から赤ちゃんの声が聞こえるんだ」 「あ、それ! 俺も聞きました!」 「圭一くんも?」 「はい。由香は気付いていませんでしたが、あれは絶対に赤ちゃんの声ですよ! もう、あの時は怖くて怖くて……」
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