0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
夫婦別姓と電気羊
「では、ご希望の条件を聞いていきます」
「はい。年収は・・・年齢は・・・体格はあまりこだわりません、両親との同居・・・趣味はアウトドアのほうが・・・」
「承ります。では、最後に名字ですが・・・」
「名字は同じのほうがいいです」
「わかりました。佐藤で探します」
俺はチェックボックスにマークを入れた。自由記載欄ではなく、チェックボックスに書き込みをした。つまりこれはよくある要望なのだ。
「では、いつまでに結婚したいですか? まずはPRの作成から初めて行きましょう」
「ほらよ。ご希望の電気羊のリストだ」
「羊? なにを言っているのか、よくわからないがお客さんを動物呼ばわりはよくないんじゃないか・・・電気?」
俺は同僚からもらったリストに目を通す。先ほどの客、佐藤さんの条件に合う男性のリストだ。名字は全員、佐藤である。
「フィリップ・K・ディックの電気羊はアンドロイドの夢をみるかって知らない?」
「ブレードランナーって映画の原作だっけ? 映画は見たけど・・・なんで原作はそんなタイトルなんだ?」
「そこは映画だとごっそり削られてたな」
同僚は電気羊の解説を始める。
最初のコメントを投稿しよう!