祠村

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「うわっ!・・・・・・うわあああ!」  刃物に驚愕した唯月は、足を滑らせ、バランスを崩すと川の中へと倒れ込む。跳ねた大量の水が宙を舞い、激しい波が彼を中心に広がっていく。 「あ~もう、何やってるの。私が幽霊にでも見え・・・・・・あれ?・・・・・・もしかして君、唯月くん・・・・・・?」  少女は険しい表情を緩め、口を丸く開いた。 「・・・・・・え?もしかして小鳥お姉ちゃん・・・・・・?」  唯月も、下半身が水に浸かった姿勢のまま、目を丸くする。 「驚いた・・・・・・ホントに唯月くんなの!?しばらく見ない間に大きくなったねえ!」  小鳥は久々の再会に歓喜し、バシャバシャと水音を立てて近づく。彼女は左手を差し出し唯月を引っ張り上げる。 「久しぶり、小鳥お姉ちゃんも凄く綺麗になったね?」 「ふふっ、ありがと。それはそうと、驚かせてごめん・・・・・・服、結構濡れちゃったね。いくつか予備の服を持ってるから、川を出て着替えよう。風邪を引いたら大変だよ?」
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