祠村

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「ここに住んでいる立華小鳥って人から手紙を貰ったんです。だから久々に会いに行こうと思って、この祠村を訪れたんですが・・・・・・?」 「立華小鳥・・・・・・あんた、小鳥ちゃんの従弟か何か・・・・・・?」 「はい、そうですけど?あれ?おばさんも小鳥お姉ちゃんの知人ですか?」  すると、女性はあっさりと気を許し、わざわざ用心した自分の行為に面白おかしく笑った。腹部を叩き、終いにはいかにも中年らしい笑い声を吐き出し 「えひひひ・・・・・・ごめんなさいね、別にあんたを笑ったわけじゃないわ。たちの悪い勘違いをした自分がバカらしくて・・・・・・ええ、知ってるわよ。この村は意外と小さいから、住人の名前は全部覚えてるわ。小鳥お姉ちゃんに会いに来たのね?家はどこか分かる?」 「家ですか?ああ・・・・・・そう言われてみれば、どこだろう?手紙には書いてなかったな・・・・・・」  真剣な唯月に対し、女性はツボに入ったまま遠くを指差し 「あそこの坂の上に、松の木がある家が見えるでしょ?あそこが小鳥ちゃんの家よ。多分、あの子も家に・・・・・・ぷっ、あはははは!」  相変わらず笑いを堪えられない女性に、唯月もしぶしぶ表情を合わせる。とりあえず、案内をしてくれた事に礼を言うと、その場を後にし、村の内側へと足を進めていく。
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