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慶應三年十月十四日（西暦1867年11月9日）、時の将軍徳川慶喜により京都二条城にて朝廷に政権が返還された。
これを『大政奉還』と言う。
ただし、慶喜は征夷大将軍としての地位は返上したが内大臣としての位は未だに保持しており、新たに勅許を得て引き続き外交を含めた政権運営の一切を担っていた。
幕府を倒し政権を朝廷に取り戻すという大義名分を大政奉還により失った倒幕側は一計を案じ、同年十二月九日（西暦1868年1月3日）京都小御所にて今上天皇祐宮睦仁*2を交え慶喜抜きで国政会議を行った。
こうして辞官納地（慶喜の内大臣としての地位並びに幕府領半分の返還）の令、そして幕府の廃止を宣言させたのだ。
これぞ『王政復古の大号令』である。
この瞬間、幕府の解体は正式に決定し新政府樹立となったのである。倒幕派は勝利を確信した。
……しかし、彼らは知らなかったのだ。
京都には佐幕でも倒幕でもない第三の勢力があったことを。
それこそが、陰陽師・土御門靖明率いる勤王攘夷超過激派*3である。
（幕府、新政府……どちらも愚か。何故この神聖なる神国日本に毛唐*4を招き入れようとするのか。京の地と偉大なる帝だけは穢れから守らなければならない。たとえどんな手を使ってでも――）
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