8/8
前へ
/155ページ
次へ
 斬首が終わると、焚き火に宿った神魂が京の四方に飛び去り用意された要石(かなめいし)に宿った。  すると、京都の周囲が方形状に輝き出し白い光の壁が天に向かってゆっくりと伸びていく。先程とは別の花魁が偶然その光景を目撃し、それが何を意味するかも知らず光が発する神秘的美しさに見惚れていたが、傍の男は気付かず女を引き寄せた。  やがて光の壁は消え去って行く。京都の民が何も気付かぬうちに。  けれど、目に見えない霊気の結界は確かにそこに残ったのだ。  これぞ、『京都大結界』と呼ぶ―― *1浅葱色の装束……ドラマ等では切腹の時に白い着物を着ているがあれは創作で実際は血が目立たないように濃い浅葱色である。 *2祐宮睦仁……後の明治天皇。明治天皇という称号は死後に送られた(いみな)である。 *3勤王……勤王も尊皇も共に天皇を敬い忠義を尽くす思想だが、勤王派は過激派が多かった。代表は土佐勤王党。 *4毛唐……外国人に対する別称。主に髪の色の違う白人を指す。 *5土御門晴雄……実在する人物。 *6廃嫡……父親の仕事を継ぐ嫡男の位を捨て、弟に家督を譲ったということ。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

113人が本棚に入れています
本棚に追加