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「面白い……だと?」
「あ、さすがに何年も前の話だからそこだけ気を付けて聞いてくれよ。あくまでも当時の彼女が語った内容だからな」
そう言って、瀬棚さんは取り出した紙切れに視線を落とした。
そして、まるで過去の記憶を呼び覚まそうとするように目を細めると、一呼吸おいてそこに書いてある文章を読み上げる。
「――――私がこの世のものではない何かを見るようになったのは、あの廃れた集落を訪れてからです。名を、古仙の村と言いました」
「何?」
その名を聞いた途端、麻里子さんの表情が一変した。
目を見開いて、体を硬直させ――――明らかに取り乱しているのが見て取れる。
そしてこの僕も、瀬棚さんの口から告げられた言葉に少なからず衝撃を受けた。
古仙村。その土地を僕たちに――――……いや、特に麻里子さんに浅からぬ縁があるからだ。何より、僕たちが初めて出会ったのもその古仙村だ。
「ええ、あなたもよく知っているでしょう。あの村には死霊が漂っているのです。世間では心霊スポットだ都市伝説だ何だとくだらない噂が流れていますが、あの村はそんな生易しいものではありません。何故ならあの場所は、何者かの手によって管理されているのです。私はあの地でその人たちに出会った。彼らは名乗りました――――自分たちは、信太会であると」
「馬鹿な!」
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