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瀬棚さんの言葉を最後まで聞き終える前に、麻里子さんはかぶりを振って声を荒げた。
だがそんな彼女を制するように、瀬棚さんは紙切れを僕たちに突きつけてきた。
「この資料はくれてやる。だからお前はいつも通り取材に行って、情報提供よろしく頼むわ。こっちは無駄骨おりたくねぇし」
「博士……」
「そんなこの世の終わりみたいな顔すんなよ。面白ぇ話じゃねぇの、なあ」
麻里子さんに紙切れを押し付けると、瀬棚さんは用は済んだとばかりに僕たちに背を向けた。
そして、可笑しくてたまらないと言った様子で笑いを押し殺しながら言ったのだ。
「狐嶋麻里子の故郷である古仙村。そして信太会……お前が探してる兄ちゃん、案外まだその村のどこかに居たりしてな」
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