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プロローグ
城下を20日間焼き尽くした・・・炎。
魔王は、ほくそ笑んだ。
忌まわしき禁忌の末裔など、皆殺しにするがよい。
我が息子よ。なぜ敵である勇者の末裔に懸想をしたのか?
とにかく、悉く壊滅させ、すべてを焼き尽くせ・・・・!!
リストンパーク。それは
古の時に、かつてこの世界を統治した、勇者の末裔が
建国したという国。
突然の魔族の襲撃に、国は20日間
巨大な炎に飲まれ、燃え盛っていたという。
それは、この世の地獄であった。
すべてを燃やし尽くされた故に、
大量の難民、戦災孤児が発生し、かの大陸へと
散り散りとなった。
しかし魔王の誤算があった。
一番息の根を止めたかった勇者の末裔である
王女オーキッドは、生きていた。
魔王の秘蔵っ子である第一皇子セラヴィによって、
彼女の命の炎は静かに燃えていた。
そして、その命の炎は新たに引き継がれようとしていた。
彼女の首には、稲妻を模った紋様の入ったペンダントが
吊り下げられていた。
エターナル・メタル…それは古の謎を紐解く鍵…。
************************
隣国のスフィーニ国にも
リストンパーク壊滅の知らせが届いた。
別名太陽と風の国と謳われた魔法国家の重鎮である大魔道士ヴィーニーと
一早く隣国の異変を知らせに来たこの国の出身のオーキッドの従者、賢者ゴードンは
城と城下に結界を描いた。
理由はふたつあった。
ひとつは…早急にペンダントの謎を解き明かさなければならない。
そのための時間稼ぎだった。
魔性に見つかるのは時間の問題だ。
そう覚悟して。
その知らせを受けたその日に
偶然にも スフィーニ国に、第一王子が誕生した。
もうひとつは、…そう、ペンダントの継承者であるこの王子を護る為であった。
エターナル・メタル。そう呼ばれる不思議な金属で造られたペンダントの後継者のひとりが選ばれた瞬間でもあったのだ。
彼が生まれた瞬間に、それは神々しいほどの光を放った…。
それは、新緑の頃に吹く風ような緑色の澄んだ光であった…。
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