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【記録と記憶の断片1】
西国セイルガルドで起きた大規模な内乱を沈めたのは、たった一人の青年だった。
狙撃銃と白銀の柄の長槍を巧みに操り、鬼神の如く反乱分子を消していく。
その手は、多くの屍を積み上げた。
その瞳は、幾多の死んでいく者たちを見据えた。
それでも、彼の渇きは癒えることなく――いつしか紅い血に塗れることに慣れていく。
『西国の英雄』とも、内乱を沈めた政府側の『兵器』とも呼ばれる白髪に蒼い瞳を持つ青年。
名を、ユキ・フェイクと言った。
◆
長槍を一人目の胸に突き刺し、その勢いを利用し薙ぎ払う。悲鳴が上がり、それは断末魔に変わっていく。剣が突き刺さった右腕にを庇うことすらせずその首を掴んで力任せにへし折った。
数が多い。それでも、これだけ束になって剣を向けられても、自分が死ぬとは微塵も感じることができなかった。
その中の一人が、怯えたような声で言葉を吐く。
「化け物……化け物だ、助け……」
俺がその時に考えていたことはひとつだけ。
後何人殺せばゆっくり休めるのだろうか。永遠に続くような地獄の中で、それだけを考えていた。
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