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鋭い瞳で腰に手を当てる。
「週末は列車が来る本数も少ない。ましてあそこに向かうなら、見付かる危険は減るだろう」
「そうですね。つい先程も地震があった事ですし、もう手段は選んでいられないでしょう」
それから、要が思い付いたように話題を変えた。
「そういえば海斗から聞いたんですが、春日さんも都市庁に目を付けられたかもしれないそうですね」
「ああ、今朝も何かあったらしい。まあ、本気で消しにかかる事は無いとは思うが、一応注意するようには話しておいた」
「全く、向こうも度が過ぎていますね。可愛い女子高生まで殺そうとするなんて」
言いながら、ふと窓の外を見た要が目を見張る。
「鎮真、あれは……」
ただ事ではない様子に、鎮真も振り向いて外を見る。
資料室がある校舎は校門からは距離があるが、建物の間をぬって丁度窓から外灯に照らされた門が見えた。
そこに人影がある。
高等部の制服を着た一人の少女と、そして。
「あれは、まさか」
「急ぎましょう」
「ああ」
短く会話を交わし、部屋の外に飛び出す。
向こうの動きが早過ぎる。
昨日の今日で、二度目の接触をしようと摺るなんて。
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