序章

2/2
2260人が本棚に入れています
本棚に追加
/2323ページ
   丘の上で足をとめ、眼下に広がる街を見下ろした。春めいた風が吹き抜け、伸びた銀の髪が視界の端で靡いた。 「──師匠、準備できたよー」  弟子の声に振り返り、手を振るその姿に笑みを浮かべた。  中央の国の首都まで、あと一週間程度。弟子との旅も、あと一週間程度だ。  竜笛を銜え、それを吹く。人の耳では聞き取れないその音を合図に、己の騎竜が遠くからかけてくる様子が見えた。 .
/2323ページ

最初のコメントを投稿しよう!