二章 公爵家の姫君

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  「っはい!」  ユリアスはぱっと笑みを浮かべた。 「すぐに馬を用意しますね」  立ち上がろうとした彼女をとめる。 「いえ、馬ではなく……、僕の騎竜に乗りませんか」  馬では行ける範囲が限られてくる。しかし、彼方の足ならば、遠出をしても日暮れまでに帰ってこられる。 「騎竜、ですか?」 「……走竜を購入したのです」 「走竜! 一度、乗ってみたかったんです」  笑みを深めた彼女に、リューティスは密やかに安堵の息を吐きだした。ニアン学園に通い、魔物と対峙する機会も多い彼女ならば問題ないと思っていたが、貴族の令嬢の中には(ドラゴン)を怖がる者も多いと聞いていたのだ。 「すぐに動きやすい格好に着替えてきますね」  ユリアスは長いドレスの裾を翻し、部屋から出て行った。リューティスは大きく息を吐きだす。『あれ』を渡すまで己の心臓が持つかどうかリューティスには自信がなかった。 .
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