三章 誓い

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   部屋から出て行ったユリアスが戻ってきたのは、十分ほど経った頃だった。 「お待たせしました!」  戻ってきた彼女は、貴族の令嬢が乗馬用に着るような可愛らしい薄青色のズボンをはいていた。靴は先ほどまでの華奢なパンプスから一変し、しっかりとした膝まであるブーツをはいている。 「これなら大丈夫ですか?」  見惚れかけていたリューティスは我に返ると慌てて彼女から目をそらしてうなずいた。 「問題ありません」 「よかった」  歩み寄ってきたユリアスはリューティスの腕に自信の細い腕を絡めた。 「走竜はどこに預けているんですか?」 「……騎士団の竜舎に預けております」 「一応、屋敷にも竜舎があるから、使えるようにしておきますか?」  ユリアスに腕を引かれ、扉に歩み寄る。 「……お願いできますでしょうか」  できることならば、近くの方がいい。昨夜に話をしたが、リューティスとクレーネーはしばしこの屋敷に宿泊することになっている。この屋敷で寝泊まりするのなら、彼方も近くにいた方がいいだろう。彼と過ごすのも、あと数週間だ。旅から帰るまで、頻繁に会うことはできない。  無論、東の国に向かう旅に出てからも、この街にあるギルド“月の光”本部へは足を運ぶことになる。そのついでに、他の騎士に姿を見られない程度に会いにこようとは思うが、そう頻繁には難しい。ならば、残りの二、三週間は、しっかりと彼の世話をしたいのだ。 .
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