1人が本棚に入れています
本棚に追加
この世界は、五つの大陸と広く深い水の塊、海から成り立っている。一つの大陸に一つの国が有り、国内での対立はあれど、基本的には協力体制を築き、他国よりも優位に立とうと日々邁進することを目指している。
数百年前、五つの国に簡略的な名前が付いた。
世界一の国土を誇る国は『紅ノ国』と呼ばれ、自然に関する知識が多く、頭が切れるものが多い。
常に気温が低く、雪が積もっていることが多い国は『蒼ノ国』と呼ばれ、化学が圧倒的に進んでおり、『科学王国』という別名もある。その反面、貴族や王族、奴隷などの身分制度が残っている。
蒼の国とは対照的に、常に気温が高く、乾燥している地域と蒸した地域が多い国は『黄ノ国』と呼ばれ、圧倒的な人口を誇っていると同時に、いくつかの宗教団体が存在している。
農地が多く、芸術性に富んでいる国は『紫ノ国』と呼ばれ、独特の世界観故か、他国と同盟を組むことは一切なく、独立している。
最後に、国土は大して大きくは無いが、独自の『和』の文化と他国の文化が入り混じった国は『翠ノ国』と呼ばれ、圧倒的な戦闘力を誇ってはいるが、犠牲を厭わない為、連続して勝つことは少ない。
いつだったか、一つの国で発明された、人間の体から火を作り出す技術があった。それは徐々に形を変え、今から千年前には、水や風、光、闇を生み出すことも可能になっていた。人々は、後にその技術を『魔法』と呼び、魔法を扱える者を『魔法使い』と呼んだ。
魔法には大まかに六種に分けられ、炎系、水系、木を操るなどの自然系、光系、闇系、その他の具現化、移動などの魔法を無属性と呼ぶ。一人一つの得意属性があり、他の魔法も学べば使えるようだ。
魔法という名のそれは戦争で優位に立てるといっても過言ではない。大きな戦艦の中にそっと忍び込み切り崩すも可、相手を正面から倒すも可、怯ますも可……。つまり、なんでも出来てしまうのである。他国もそれを真似ていき、第二次大戦は殆どが魔法頼りになり、それ以降の大戦は『魔法大戦』と呼ばれるようになった。
現在は落ち着いてはいるが、密かに魔法大戦は続いており、魔法使い育成専門の学園が各国にいくつも創設されるなど、参加国は大戦に勝つことを目論んでいるらしい。その先に何があるのかを考える者など、もうこの世にはいないのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!