#0 とある神様の日記

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 現在は人と人外とが争い無く暮らしており、とは言えないが、平和に暮らしており、家畜・植物を省いた生物たちは、充実した生涯を送れていると言えるはず。  他の世界に立ち入ることは一部しかできないが、他の世界の書物、文化などが、ここ百年でこの世界にも浸透したようである。  今後も、担当区域である人間界の観察を続けていき、何かあり次第書き連ねていく予定である。 【追記】  ここ数年世界を騒がせている大怪盗及びブラックリスト登録済みの女性犯罪者『TR.0』が、昨日紫ノ国の美術館屋上にて追い詰められた果て、 「百年後、また生まれ変わって、また世界を半壊にして差し上げようッ!」 と言い残し、眼鏡を屋上に残し、身を投げたらしい。彼女の死体は観衆の眼前に落ち、瞬く間にネットで拡散されたとかされていないとか。  彼女は世界事情の裏を殆ど把握し、事あるごとに暴露し、世界を乱していた。同時に価値の高い宝石を盗み、貧しい人々に分け与えるなど、悪人と善人を演じ分ける一面もある女性である。追っ手から免れるために何度も(自分で)整形し、顔、腕、足の皮膚の一部が剥き出しになっていることから、『無痛の女狐』という別名も存在している。  百年後が楽しみではあるが、本の数が足りるかが問題である。百年経つ数年前にでも、使者を落とそうと思う。
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