第一章「冷凍食品の気持ち」

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 十和は「ごちそうさまでした」と箸をおき、真剣な顔つきになると僕に向かってこう告げた。  「最近うちの学生が何人か亡くなってるの、知ってる? わたしもこの話しを聞いたのはつい最近なんだけど」  「えっと……」  うちの学生が亡くなったという事実を聞かされたのは、実のところ初めてだった。大学生なのでもちろん僕自身も期末の時期だったので忙しくしていたのだが、流石にこの話しは学生全体に周知されているべき話題ではなかろうか。  決して僕が世情に疎いわけではない、念のため。  ともあれ、そんなのっぴきならない話題をなぜまた僕にするのだろうか。  「貴方だから相談してるのよ。実は私の知り合いも巻き込まれてケガをしたらしいの。その子の証言だと、死体は夏場なのに恐ろしく冷たくなったって言ってたわ。いくらなんでも不自然だと思わない?」  「死体が冷たく……ね」  確かに死体ならば冷たくなるのは当然だ。だが、ここで問題なのは、その死体が異様に冷たいこと。  「それで僕に相談しにきたってわけね」     
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